脂肪酸ってどんなもの?中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸の違いを知ろう!

MCTオイルやバターコーヒーダイエットについて調べると中鎖脂肪酸や長鎖脂肪酸というワードが出てきませんか?「どうやらこれがMCTオイルダイエット成功の秘訣らしい」と分かっても、中鎖脂肪酸や長鎖脂肪酸について正しく理解していないと、うまくダイエット効果が見込めないかもしれません。

この記事ではMCTオイルダイエット成功に欠かせない中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸について解説します。

脂肪酸は繋がっている炭素の数で決まる


中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸は元を宿れば同じ「脂肪酸」という物質です。ではなにが違うのかというと、繋がっている炭素の数が違います。MCTとは「Medium Chain Triglyceride」の略。Chainは鎖、Triglycerideは脂肪酸のことでMCTとはそのまま中鎖脂肪酸のことを示しています。

対して長鎖脂肪酸は鎖(炭素の数)が長い脂肪酸のことを指します。MCTオイルをはじめ、世の中にはたくさんの種類の油がありますよね。身近なとこだとキャノーラ油やひまわり油などのサラダ油と言われる油、オリーブオイルやごま油、えごま油や米油なども一般的です。これらの身近にある油はほとんどが長鎖脂肪酸の油です。

それぞれ色や風味、用途も違う油の特徴は、脂肪酸の種類や炭素の繋がってる数によって決まっているのです。

MCTオイルに含まれる中鎖脂肪酸は3種類


MCTオイルはその名前の通り、100%中鎖脂肪酸でできたオイルです。そこからさらに3種類の中鎖脂肪酸に分類できます。カプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)です。

カプリル酸は一番短い炭素8個が繋がった脂肪酸。
短いため分解が早最も早く脳細胞などのエネルギー源になる性質を持っています。

カプリン酸は炭素10個が繋がった脂肪酸。
ちょうど中間で、エネルギーへの代謝が比較的早いのはもちろん、持続的にケトン体を生成し、ケトン体サイクルを効率よく回す上でも不可欠な中鎖脂肪酸です。

中鎖脂肪酸の中では最も長いラウリン酸は、炭素12個が繋がった脂肪酸。
長鎖脂肪酸に属するという考え方もありますが、MCTオイルに含まれることが多いため、中鎖脂肪酸の仲間と言えるでしょう。カプリル酸やカプリン酸に比べると緩やかにケトン体になりますが、その分満腹感の持続力が高いのが特徴です。MCTオイルダイエットを始めたばかりの、糖質制限になれないうちは余計な間食を抑えたり、辛い空腹を感じずにすむ強い味方と言えます。

中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸の違いとは?


前述の通り、MCTオイルは中鎖脂肪酸100%です。では中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸の違いとはなんなのでしょうか?

成分的な話をするなら、中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸の違いは炭素のつながりの長さです。「それだけ?」と思いますよね。しかしこの長さの違いにによって、体にもたらす効果は大きく異なります。最大の違いはエネルギーとして消費されるスピードです。

なんと中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸の4倍のスピードエネルギーとして消費されるんです。それが体にとってどうメリットになるのか、よりくわしく紹介しましょう。

中鎖脂肪酸の働き

中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸より短いため、水に馴染みやすいという特徴があります。そのため小腸で吸収されず、直接肝臓に運ばれます。肝臓はエネルギー生成器官。ここに運ばれた中鎖脂肪酸はすぐにエネルギーとして分解されます。

すぐエネルギーになるというメリットは様々あります。
例えばスポーツ選手であればばてることなく動き続けられる、入院中の体力や食欲が落ちている患者でも摂取後すぐにエネルギーとして体全体を巡ってくれる、即座にエネルギーになることで、低栄養状態の解消につながる、などです。

長鎖脂肪酸の働き

対して長鎖脂肪酸は水に馴染みにくいので、小腸からゆっくりと吸収されます。その後、リンパ管や血管を通して全身の筋肉や脂肪組織、肝臓に運ばれて必要な時に分解されエネルギーになります。

人間の体は万が一に備えて、エネルギーを貯蔵する必要があるので、長鎖脂肪酸も体にとってはなくてはならない存在です。しかし、食事に内容がバラエティ豊かになり様々な栄養を摂取できる現代人にとって、過剰な長鎖脂肪酸の摂取はただ蓄積されて脂肪になるエネルギーを溜め込んでしまうというリスクもあります。

「すぐエネルギーになる」のと「一度貯蔵される」という中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸が体にもたらす効果の違いを理解し、バランスのいい摂取を心がける必要があります。

MCTオイルに含まれる中鎖脂肪酸は体脂肪になりにくい


では、一度貯蔵されたエネルギーを使い切る前に、新しいエネルギーが体に入ってきたらどうなるでしょう?

蓄積された長鎖脂肪酸(脂肪)はあくまでストックなので、必要がなければ分解されません。それを繰り返し、少しずつ体や脳を動かすのに使われない脂肪が溜まっていく・・・結果、メタボリックシンドロームや肥満の原因となってしまうわけです。

MCTオイルがダイエットに効果的と言われるのは、長鎖脂肪酸と違い中鎖脂肪酸はこの「貯蔵」というプロセスがないからです。すぐに分解されてエネルギーになることで、長鎖脂肪酸と同じ油でありながら中鎖脂肪酸は体脂肪になりにくい油なんです。

さらに中鎖脂肪酸は蓄積された脂肪をエネルギーに変えることで、脂肪燃焼を促す働きも期待できます。また、すぐエネルギーに変わることで運動効率もアップ。

そんなメリットの多い中鎖脂肪酸を100%含むのがMCTオイル。ダイエットを目指すなら、ぜひ取り入れたい食品というわけです。

普段から中鎖脂肪酸を摂取するには?


中鎖脂肪酸は体にいい油ですが、普段から摂取している長鎖脂肪酸の油にプラスして摂取しては痩せるどころか太ってしまいます。さらに体は中鎖脂肪酸が作り出すケトン体よりも糖質(ブドウ糖)を優先してエネルギーとして使います。
体内に糖質がたっぷりある状態でただMCTオイルを摂取しても意味はありません。

効率よく中鎖脂肪酸の効果を実感するためには、まず糖質制限は欠かせません。そして、糖質制限を意識して行うと、長鎖脂肪酸の摂取量を減らすことにも繋がります。

サラダ油やオリーブオイル、ラードなど私たちの周りにある多くの油は長鎖脂肪酸です。普段の食生活の中で摂取する機会が多く、MCTオイルダイエット中だからと言って、長鎖脂肪酸の油を完全に除去するのは難しいと思います。
そこで糖質制限もうまく活用し、無意識に摂っていた長鎖脂肪酸を減らしてみましょう

MCTオイルは加熱調理に向かない性質ですが、サラダにかけるドレッシングのベースにしたり、お手製ステーキソースに使うなど後からかけて使用するならほとんどの長鎖脂肪酸の油に置き換えできます。外食時も唐揚げは蒸し鶏にするなど、長鎖脂肪酸を多く摂取してしまう揚げ物を上手にさけるなどちょっと意識するだけでOK。唐揚げは衣部分がほぼ糖質なので、糖質制限にもつながりますね。

カレーもルーを使わずスパイスをたっぷり使いサラッとしたインドカレーにするだけで、長鎖脂肪酸の摂取量は大幅に減らせます。
カレーに欠かせないご飯も糖質が多いので、玄米やカリフラワーライスなどに置き換えて、賢く楽しみましょう。

MCTオイルに含まれる中鎖脂肪酸も食用油に長鎖脂肪酸もどちらも油。極端に減らすのも過剰摂取も良くありません。ダイエット成功の秘訣はバランスの良い食生活から。無理のない範囲で長鎖脂肪酸からMCTオイルなど中鎖脂肪酸のオイルへの置き換えを意識してみましょう。

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